大略たいりゃく)” の例文
「そこでございます、御新姐ごしんぞはな、年紀としは、さて、たれが目にも大略たいりゃくは分ります、先ず二十三、四、それとも五、六かと言うところで、」
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かく何か不吉なことがあると、必らずこの音を聞いたと、この自伝の中に書いてあるが、これがここ所謂いわゆる『不吉な音』の大略たいりゃくであるのだ。
不吉の音と学士会院の鐘 (新字新仮名) / 岩村透(著)
私は大略たいりゃくこと仔細しさいを打あけて、老人の助力を乞うた。どうしても今暫く、この島に踏止ふみとどまっていたいと云い張った。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
意味を考えることは別問題としてありままだけをお伝えする。これが鐘のひびきと女の死というような『上野の鐘』の大略たいりゃくで、十二時を報じた時の鐘であったという。
白い光と上野の鐘 (新字新仮名) / 沼田一雅(著)
その訊問じんもん模様もようは、大略たいりゃくつぎごときものであつた。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
これが『白い光り』と題した話の大略たいりゃくである。
白い光と上野の鐘 (新字新仮名) / 沼田一雅(著)