夏目漱石なつめそうせき)” の例文
(僕いはく、勿論である)夏目漱石なつめそうせきの「硝子戸の中」なども、芸術的小品として、随筆の上乗じやうじようなるものだと思ふ。(僕いはくすこぶる僕も同感である)
解嘲 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
柳浪広津りゅうろうひろつ先生は三十を越えてのちはじめて小説を書きしよし聞きたる事あり。夏目漱石なつめそうせき先生は帝国大学教授を辞して小説家となりし事人の知る所なり。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
たまたま家族の者に諫言かんげんでも加えるには、かつ夏目漱石なつめそうせき氏の評された、氏の漫画の特色とする「苦々しくない皮肉」のあじわいをっておもむろに迫ります。
夏目漱石なつめそうせき先生も青磁の好きな人間の仲間であったが、先生も胃が悪くて神経衰弱であったのである。先生は青磁のはち羊羹ようかんを盛った色彩の感じを賞したことがあったように記憶する。
青磁のモンタージュ (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
夏目漱石なつめそうせきという人は、彼のあらゆる知と理を傾けて、こういう家庭の陰鬱さを合理化しようと不思議な努力をした人で、そして彼はただ一つ、その本来の不合理を疑ることを忘れていた。
デカダン文学論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
後に夏目漱石なつめそうせき氏の住まわれた家なのです。それから団子坂に移りました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
最後に夏目漱石なつめそうせき先生の南山松竹なんざんしようちくを見て、同じく又敬意を表した。先生は生前、「おれは画でも津田つだに頭を下げさせるやうなものをいてやる」とりきんでゐられたさうである。
俳画展覧会を観て (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そこで三田側の諸先輩一同交詢社こうじゅんしゃにて大会議を開き森鴎外先生にも内相談ないそうだんありしやうに覚え候が、義塾の専任となりてもろもろの画策をする文学家を選び候処夏目漱石なつめそうせき氏か小生をといふ事に相定候由
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
これにあつめてあるのは国木田独歩くにきだどつぽ夏目漱石なつめそうせき森鴎外もりおうぐわい鈴木三重吉すずきみへきち武者小路実篤むしやのこうぢさねあつ有島武郎ありしまたけを長与善郎ながよよしを志賀直哉しがなほや千家元麿せんけもとまろ江馬修えましう江口渙えぐちくわん菊池寛きくちくわん佐藤春夫さとうはるを加藤武雄かとうたけを、僕、この十五人
日本小説の支那訳 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)