城郭じょうかく)” の例文
というような、極めて悪性な讒言ざんげんと、偽装ぎそう腐心ふしんし、そのまに、毛利家の軍事顧問を入れ、城郭じょうかくほりを深め、塀を高くしていた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
同じ荒廃した光景でも名高い宮殿や城郭じょうかくならば三体詩さんたいしなぞで人も知っているように
熊井青年が言った通り、その家はまるで城郭じょうかくみたいな厳重きわまる構えであった。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
遠くではあったが、まぎれはない。それこそ彼がこの城郭じょうかくのうちに血眼ちまなこで求めていた捕虜のわが子、小四郎綱高であった。
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、つたえて来たし、また、はるか備後の桜山四郎茲俊これとしも、同国一ノ宮を城郭じょうかくとして、宮方加担を声明し、兵を山陽にあつめているとの早馬だった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この城郭じょうかくもよいが、様式のすべてが旧い。この城の設けられたときは、一地方の防塞ぼうさいとして築かれたのだろうが、いまは時代がちがう、目的もちがう。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
敵は、割ヶ嶽をおとすと、城郭じょうかくを焼払い、石垣も城壁も、跡かたもなく打壊うちこわして、はや甲州へ退去したとの事です。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弾正は、楼を下りると、すぐ城郭じょうかくの一室へ、物見頭の高井戸又六を呼び入れて、報告を迫っていた。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——そこは粕屋郷かすやごう青柳ノ里と申しまする。和白わじろノ浜を近くに、花鶴川を北にひかえ、小高い七峰を平野にそびえたて、うちの一つを井楼山せいろやまと申し古くからの大友党の一城郭じょうかくです」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二万の軍勢は、はや一人のこらず、足ごしらえまで済まして、城郭じょうかくの中の広場に
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城郭じょうかくの井戸の開鑿かいさくには、特別な技術がいるので、ただの井戸ほりではできない。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
領主りょうしゅ城郭じょうかくしかける盗賊とうぞくもあるまい。では、何者なにもの乱入らんにゅうしたのじゃ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、彼女かのじょはそのうッすらとした夜霧よぎりそこから、やっと、この城郭じょうかくさかいをなす、外濠そとぼりの水をほのかに見出みいだしたのである。そして、しばらくはそこへ、ジッと目をつけて、手の横笛よこぶえをやすめている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)