“坐(そゞろ)” の例文
父母(ちゝはゝ)のおん為に。経の偈文(げもん)を謄写(かきうつ)して。前なる山川におし流し。春は花を手折(たをり)て。仏に手向(たむけ)奉り。秋は入る月に嘯(うそぶき)て。坐(そゞろ)に西天(にしのそら)を恋(こふ)めり。
先刻(さつき)汽動車を下りてから間もなく、野道の十字點で見た小學兒童の群(むれ)は何處(どこ)へ行つたかと、小池は坐(そゞろ)に背後(うしろ)を振り返らずにゐられなかつた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
是は頗る榛軒当時の境界を窺ふに足る作で、此詩と曾能子(そのこ)刀自の記憶する一話とを対照するときは、人をして坐(そゞろ)に榛軒の畏敬すべきを覚えしむるのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
盛りじや花に坐(そゞろ)浮法師ぬめり妻
桃の雫 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)