土臭つちくさ)” の例文
二階の正面に陣取じんどって、舞台や天井てんじょう、土間、貴顕きけんのボックスと、ずっと見渡した時、吾着物の中で土臭つちくさからだ萎縮いしゅくするように感じた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
窮理きゆうりけつしてなるにあらず実践じつせんなんあさしと云はんや。魚肴さかな生臭なまぐさきがゆゑやすからず蔬菜やさい土臭つちくさしといへどもたふとし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
一度後に退しりぞいて了ふと、私は、この遲鈍ちどんな、口を開けて魂消たまげてゐる、土臭つちくさい子供らの幾人かゞ、十分に敏感な機智のある娘として眼を醒したのに氣が附いた。
ああ、どうも咽喉のどが乾いてしまった。やあ双子さん。今日は。ご免なさい。少し水を呑んでやろうかな。はてな、どうもこの水は変に土臭つちくさいぞ。どこかのまっ黒な馬鹿ァが頭を
双子の星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ヤマユリの名は、なんとなく土臭つちくさい感じがして、いっこうに上品に聞こえない。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
土臭つちくさい鮒がふよつき
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)