国分こくぶ)” の例文
その折国分こくぶさんが吃驚びっくりした顔付は未だに忘れられないと言って、母親が一つ話にしている。この国分さんはもううに亡くなってしまったが
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それがたまって三十本にもなってるのを、残らずヘルンは座右におき、仕事のうちにも手当り次第につかみ出しては、国分こくぶの刻煙草をつめて吸ってた。
大阪の鉄屋国分こくぶ商店に勤めている村上房次郎夫妻、———この房次郎が先方の瀬越なる人の旧友であるところから今度の話が持ち上った訳なので
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「……ええと、龍王の細刻ほそぎりが一朱で二百五十匁替めがえ国分こくぶ舞留まいどめが百五十匁替めがえ。田舎じゃどうも売りきれねえな」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
綺麗に帯封をして小判形にきっちり巻いた刻み煙草、小は半斤、大は一斤、国分こくぶでも秦野はたのでも小口を少しずつ引きだして、これはいかがさまでと遠慮なくませる。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
「切れそうも無い莱切なきり包丁が一丁あるだけ、そう/\見事な懐中煙草入がありましたよ。かますの中には、国分こくぶの上等が少々、多分山之助のものでしょうが、少し贅沢ぜいたくですね」
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
にぎりたけ(方言)飛騨吉城郡国分こくぶ辺(高山町ヨリ二三里程)ノ山地芝草ヲ刈リ積ミタル辺、又ハ麦藁ヲ入レ肥料ニセシ畑ニ生ズル、秋時栗ノ実ノ爆ゼル頃最モ盛ンニ出ル、高サ七
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
羅宇らうの長き煙管きせるにて国分こくぶをくゆらしいたる母は目を
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
と七兵衛は、刻煙草きざみたばこ国分こくぶをつめ換えて
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
夏は国分こくぶみねを越え
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
国分こくぶを詰めて
絶景万国博覧会 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
同時に国分こくぶが打ちかゝった。それが合図だった。四人に一人だからかなわない。私は組み伏せられた上に、散々撲られた。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
煙管きせるは銀で、煙草は国分こくぶらしい上等の刻み、並大抵の人間の持つ物ではありません。
「いや、唯の風邪じゃないらしい。余り長びくからって、国分こくぶさんが首を傾げていた。チブスかも知れないんだ」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
国分こくぶという奴と三人のものが去年の修学旅行の時、僕を撲ったんです。僕は口惜しくて仕方ありません」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)