くさみ)” の例文
しかし起きてぜんに向った時、彼にはかすかな寒気が脊筋せすじを上から下へ伝わって行くような感じがあった。その後ではげしいくさみが二つほど出た。傍にいる細君は黙っていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれども巨人の方では奥に二人が入るにつれて、こそばゆくなつて、くさみをしさうになりますのをこらへ/\致しますので、中の二人は時々その強い息に吹きたふされました。
漁師の冒険 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
私は申譯のない御無沙汰して居りましたが貴君もお母樣つかさんも御機嫌よくいらつしやりますかと問へば、いや最う私はくさみ一つせぬ位、お袋は時たま例の血の道と言ふ奴を始めるがの
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
先日こなひだ横山大観氏が席上せきじやう揮毫きがうで、画絹ゑきぬ書損かきそこなひをどつさりこしらへて、神戸の富豪ものもちの胆を潰させた事を書いたが、人間の胆といふものは、大地震おほぢしん大海嘯おほつなみの前には平気でゐて、かへつて女の一寸したくさみ
ひとみな天壽てんじゆつる手入ていどきくさみだにせぬうちの養生やうじやう
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
途端にクシーンと大きなくさみが一つ出た。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私は申訳まをしわけのない御無沙汰してをりましたが貴君あなたもお母様つかさんも御機嫌よくいらつしやりますかと問へば、いやもうわしくさみ一つせぬ位、お袋は時たま例の血の道と言ふ奴を始めるがの
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大きな山でもとばされるやうなくさみをしました。
漁師の冒険 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)