)” の例文
海に二つの竜現われ青赤い合い戦うて一時ばかりして青竜負けて逃ぐ、その夜そこに宿り明日見れば昨と同時にまた戦うて青竜敗走した
なんでも、僕の聴き取った所では、心が動いてはならぬ、動けばすきを生ずる、隙を生ずれば乗ぜられると云うような事であった。石原は虎が酔人をわぬと云うたとえを引いた。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
折角くわえた大きな鴨をこれからおうとしてよだれまで出したところを取上げられて終った犬のような位置に立たせられたのである。関白はじめ諸大将等が帰って終って見ると何とかしたい。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
らわぬ清僧の念仏と、朝夕ちょうせきに、妻子の恩愛には惑い、酒肉や五辛ごしん物味ぶつみにわずかな慰安をむさぼっている吾々のような不浄の口でいう念仏とは、どうしても、差があるように思われますが
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜叉は手にした死骸の頭を大きな赤い口へ持って往ってむしゃむしゃといだした。その噉うさまが瓜でも噉うようであった。大異はまた驚いて眼を瞠ったが、すぐその後から嘲笑が浮んできた。
太虚司法伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
これは王が、虎にわれ掛かる処を救うた愛犬を埋めた場所という(バルフォールの『印度事彙』三版三巻四九〇頁)。
これを証真寺というは、疑獄の真偽をたださんため本人を池に投ずるに、その言真なれば鱷これをゆるし偽なれば必ず噉う。偽言の輩僧に賄賂してまじないもて鱷を制しおのれわざらしむと。
大虫樵人きこりに向い汝いかにするも樹上に永くとどまり得じその熊をき落せ我うて去らんと言う、樵夫きこりもっともと同じて恩を忘れ熊を落して大虫に啖わせたがそれから発狂した、熊は仏の前身
いまだうを得ず、奴戸に当りって弓を張りを挟み刀を抜く、然、盤中の肉飯を以て狗に与うるに狗噉わず、ただひとみを注ぎ唇をねぶり奴をる、然、またこれを覚る、奴食を催すうたた急なり、然