やわらぎ)” の例文
そのやわらぎのある優しい一双の慈眼を(はあ、)と同時に糸のように細うしてあたかも眠るがごとくに装うことを断っておかねばならぬ。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
誠愛誠實を無益のものと思ひ、無暗に人を疑ひ、矢鱈に天を恨み、そのきよくつい精神せいしんやわらぎやぶりておこなふべからざることおこなみづからざるほど惡事あくじ爲遂しとぐることあらば
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
「知りませんよ。」と邪険には言ったけれども、そのうちおのずかやわらぎのある、音色ねいろを下で聞澄ききすまして
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)