命令いいつ)” の例文
狼狽ろうばいきょく逆上ぎゃくじょうしたようになっている音松を案内して、若侍は、かね命令いいつけられていたものらしく、ドンドン奥へ通って行く。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
さりとて打ち捨ておかば清吉の乱暴も命令いいつけてさせしかのよう疑がわれて、何も知らぬ身に心地からぬ濡衣ぬれぎぬせられんことの口惜しく
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
小歌をと命令いいつけるほどになって、小歌が隔ての垣のだん/\取れるに随い、すくないながら、心易く話が出来るようになった。
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
判事はボートルレを見ると、傍にいた書記に外に出ているようにと命令いいつけた。判事は少年の血のついたのを見て叫んだ。
お前の技倆うででこの難場を盛り返すようにと仰せられたそうだが、そこは執事のご筆頭だ、いかに主人の命令いいつけでもへいへいするばかりが能ではない。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
老婆はどんなメンタルテストをしたかと言うと、自分の腰元の中でも、年頃で一番美人の女を選びまして何やらそっと命令いいつけ、かの禅僧の修業している庵室へ行かせました。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
休暇中の彼の仕事はほとんど幸子の見張りのために費された。無論それは誰からも命令いいつけられた役目ではなかった。しかしそれにもかかわらず、幸子は不思議なほど彼になつかなかった。
御身 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「何をしているんだ。なぜ命令いいつけたところに立っていないんだ。」
幼年時代 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
この道場の源三郎のもとから、安積玄心斎が使者に来ていて、もうひとつ、主水正の命令いいつかった役目というのが。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「ナニ土牢の中にいる? いずれ鬼王丸の命令いいつけであろうが無惨むざんのことを致しおるのう。……市之丞殿を盗み出したのも恐らくお前達の仕業であろうな?」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
何の経やら論やらを黙々と読み続けられけるが、いよいよ塔の建つに定まって例の源太に、積り書いだせと円道が命令いいつけしを、知ってか知らずにか上人様にお目通り願いたしと
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
娘の髪を截ることをお前に命令いいつけよう。随分いたわってやるが宜い。
阿難と呪術師の娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「おおお眼覚めにござりまするか、もしお差支えござりませねば石川五右衛門御意得たい故お尋ね致して参れとの命令いいつけ、いかが取り計らい申しましょうや?」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
父のために一切の切り盛りをしている娘のお妙は、どんな人が留守にきても、一応上げて待たしておくようにと、ふだんから父の壁辰に命令いいつけられているのである。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
一昨々日さきおとといのことだったがね、なまの魚が食べたいから釣って来いと命令いいつけられたのだよ。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
わしは円道様為右衛門様から五重塔建ていとは命令いいつかりませぬ、お上人様は定めし風が吹いたからとて十兵衛よべとはおっしゃりますまい、そのような情ないことを云うては下さりますまい
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
皆まで聞かず、藤吉は葬式彦兵衛に命令いいつけた。