吹募ふきつの)” の例文
自分はなぜか躊躇ちゅうちょして手を出しかねた。その時雨の音が窓の外で蕭々しょうしょうとした。昼間吹募ふきつのった西北にしきたの風は雨と共にぱったりと落ちたため世間は案外静かになっていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「おい、船頭さん、大丈夫かい、なんだか天気が危なくなったぜ、風がひどく吹募ふきつのるじゃねえか」
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
留守るすにはかぜ吹募ふきつのる。戸障子としやうじががた/\る。引窓ひきまどがばた/\とくらくちく。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ながせし如く眞闇まつくらやみとなり魔風まふうます/\吹募ふきつの瞬時間またゝくま激浪あらなみは山の如く打上うちあげ打下うちおろ新艘しんざうの天神丸も今やくつがへらん形勢ありさまなり日頃大膽だいたんの吉兵衞始め船頭せんどう杢右衞門十八人の水主かこ水差都合二十一人の者共きも
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)