右腕みぎうで)” の例文
半助はんすけどのに、代理だいりをお願いいたしたい。この呂宋兵衛は、さきごろ桑名くわなで少し右腕みぎうでをいためておりますので……」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「似ている人間は、天下にいくらもいます。右腕みぎうでに古い刀創かたなきずがあるとか何とか云うのも一人に限った事ではない。君は狄青てきせい濃智高のんちこうしかばねを検した話を知っていますか。」
西郷隆盛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そこで父の右腕みぎうで、母のおもい子の岩吉も、頭は五分刈、中折帽、紋付羽織、袴、靴、りゅうとしたなりで、少しは怯々おどおどした然しました顔をして、鎮守の宮で神酒みきを飲まされ、万歳の声と
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
赤シャツは右腕みぎうでをあげて自分の腕時計を見て何気なくひくくつぶやきました。
耕耘部の時計 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
地べたをさぐって般若丸はんにゃまるをひろい、果心居士かしんこじ右腕みぎうでにからみつくと、居士はわらでも持つようにフワリと竹童のからだを小脇こわきにかかえ、やがて、八神殿しんでん裏宮うらみやから境内けいだいをぬけ、森々しんしんたる木立こだちのおくへ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)