受売うけうり)” の例文
旧字:受賣
翻訳をするものは、そのまま危険物の受売うけうりをするのである。創作をするものは、西洋人の真似をして、舶来品まがいの危険物を製造するのである。
沈黙の塔 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
よし前者ぜんしやとした所で、詩をてらつて、小説の真似なぞをした受売うけうりの所作とは認められなかつたからである。そこで、たゞ
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なにかにつけては美学びがく受売うけうりをして田舎者いなかものメレンスはあざやかだからで江戸ツ子の盲縞めくらじまはジミだからでないといふ滅法めつぱふ大議論だいぎろん近所きんじよ合壁がつぺきさわがす事少しもめづらしからず。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
結構な議論で、尾崎氏としては少し出来過ぎてゐるやうだが、テオドラ夫人の受売うけうりだと思へば面白くない事もない。女房の女帽ボンネツトを借りたのなら人笑ひだが、意見の受売なら少しも可笑をかしくない。
これをさえ受売うけうりするからには仙翁でもなかったのである。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
叔父の言葉のどこまでが藤井の受売うけうりで、どこからが自分の考えなのか、またその考えのどこまでが真面目まじめで、どこからが笑談じょうだんなのか、お延にはよく分らなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
とうてい受売うけうりをすべきはずのものではないのです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)