取懸とりかか)” の例文
気の早いものは、二十億の地球人類の死屍が累々として、地球全土を蔽っている光景を想像して、自殺の用意に取懸とりかかった。
地球発狂事件 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
彼等は再び窟にって、畚をおろす準備に取懸とりかかった。畚を吊るには毛綱けづなが必要である。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ところが去來いざ取懸とりかかツて見ると、ちつとも豫期よきした調子てうしが出て來ない。頭の中に描かれた作品と、眼前がんぜんに描出される作品とはなまり鋼鉄かうてつほどの相違さうゐがある。周三は自分ながら自分の腕のなまくらなのに呆返あきれかへツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
市郎ももとよりその覚悟であったので、帰郷の後、半年ばかりは富山のある病院の助手に雇われ、此頃このごろ再び帰郷していよいよ開業の準備に取懸とりかかっているうちに、飛騨の山里は早くも冬を催して
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
雑音コソハ、直チニ研究ニ取懸とりかかルニ適シタ未知電波ダ。コレヲ探求シ、分析ぶんせきシ、整頓せいとんシ、再現スルコトニヨッテ、ワレワレハ自然界ノ新シキ神秘ニ触レルコトガ出来ルノデハナイカト思ウ。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)