かわ)” の例文
軽くかわせた荻野八重梅、女力にたぶさを掴み、胸もと近く引き寄せたが、「さあどっちが悪党かねえ」立派に突いた、もう一眼!
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ト文三も今朝とはうってかわッて、今は其処どころで無いと言ッたような顔付。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
左に払って右へかわしたからで、太刀音のした次の瞬間には、二人の位置が少し移ったばかりで、構えは依然として中段と中段、もう静まり返っていた。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
紋十郎はハッとして握ったつるぎをだらりと下げ思わず耳を傾けたが、おりから月影雲に閉ざされ小暗くなったを幸いに飛鳥のように身をかわしそのまま姿をくらませた。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
目差したは左肩、ザングリ一刀、切り付けたとばかり思ったところ、どうしてかわせたか薪十郎
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
数馬は身をかわし、素早く太刀を引き抜いたが、切り付けるひまさえあらばこそ、どこからともなく矢声がかかって、一閃、ピカリと光ったかと思うと、熊の月の輪に征矢そや一筋
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
縛られた身はかわすことも出来ずドンと背後うしろへ転がるところをすかさず切り込んだ手練の太刀。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
真先に切り込んで来た武士をかわし、横から切り込んで来た武士の鳩尾みぞおちへ、拳で一つあてみをくれ、この勢いに驚いて、三人の武士が後へ退いた隙に、はじめて刀を引っこ抜き
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「どっこい!」という声と共に、辛く身をかわせた鬼小僧、三間ばかり逃げ延びたが、そこでグルリと身を飜えし、ピューッと何か投げ付けた。それが地へあたった一刹那、ドーンと凄じい爆音がした。
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)