くはふ)” の例文
この行甚だ楽しからず、蒼海約して未だ来らず、老侠客のかほ未だみえず、くはふるに魚なく肉なく、徒らに浴室内に老女の喧囂けんがうを聞くのみ。
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
火脉くわみやく気息いき人間にんげん日用にちよう陽火ほんのひくはふればもえてほのほをなす、これを陰火いんくわといひ寒火かんくわといふ。寒火をひくかけひつゝこげざるは、火脉の気いまだ陽火をうけて火とならざる気息いきばかりなるゆゑ也。
従来の階級はおほむね壊裂したり、くはふるに長年の乱世に人民の位地もおほいに前とは異なりて、従来貴族たりし者の落ちて平民の籍に投ぜし者、従来平民たりし者の登りて貴族の位地を占めし者
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)