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前方
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まえ
ふりがな文庫
“
前方
(
まえ
)” の例文
気のせいかな、と
前方
(
まえ
)
の
暗黒
(
やみ
)
を見透しながら、早耳三次が二、三歩進んだ時、橋の下で、水音が一つ寒々と響き渡った。
早耳三次捕物聞書:02 うし紅珊瑚
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「これ、そう顔を近づけちゃ、
前方
(
まえ
)
が見えなくて、危いじゃないですか。一緒に河の中へおっこちてしまいますよ」
棺桶の花嫁
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
太い引きずるような波鳴りの聞えるうらさびた田舎道を、小一時間も馬を進ませつづけていた私達の
前方
(
まえ
)
には、とうとう岬の、キャプテン
深谷
(
ふかや
)
邸が見えはじめた。
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
すると今度は
後方
(
あと
)
へも戻らず
勝
(
ま
)
して
前方
(
まえ
)
へは進もうともせず岸から十間の距離をへだててただ
岸姿
(
きしなり
)
に横へ横へとあたかも湖水を巡るかのように急速に革船は廻り出した。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
前方
(
まえ
)
へのめって前歯を折り奥歯で片頬を貫いた。——衣裳の洋服はたちまち
朱
(
あけ
)
にそまった。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
▼ もっと見る
「三つ巴の金瓦、九鬼様だ。野郎ども、近えぞ。」随う二つの黒法師、二つの頭が同時にぴょこりと
前方
(
まえ
)
へ動いた。
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
……その
前方
(
まえ
)
の弁護士席では、被告や女将なぞと並んで菱沼さんが、わけは判らぬながらもそれでも一生懸命に、裁判官達を向うに廻して、そのネバリ戦術を始めたんです。
あやつり裁判
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
間を置いて、そうして、規則正しく、
前方
(
まえ
)
の敵を切ったるごとく、倒す音が聞こえて来た。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
三浦のそういうのをわらって小倉は
前方
(
まえ
)
を指した。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
月が隠れたから、五つ半の
闇黒
(
やみ
)
は
前方
(
まえ
)
を行く駕籠をともすれば呑みそうになる。三次は足を早めた。ひやりと何か冷たいものが頬に当った。
霙
(
みぞれ
)
になったのである。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
今にも
前方
(
まえ
)
へ
仆
(
たお
)
れそうだ。見開かれた眼は床を見詰め、
瞬
(
まばた
)
き一つしようともしない。どうやら瞬きを忘れたらしい。両手を胸の上で握り合わせ、それを夢中で締めつけている。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
花の吹き込む二階で、いろは屋文次と御免安が、手に汗を握って
前方
(
まえ
)
をみつめていると——。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
直垂
(
ひたたれ
)
の上に腹巻を着け
黄金作
(
こがねづく
)
りの小刀を
癇癪
(
かんしゃく
)
らしく
前方
(
まえ
)
へ
手挟
(
たばさ
)
み、鉄扇を机に突き立てた様子は、怒れば
関羽
(
かんう
)
笑えば
恵比寿
(
えびす
)
、正に英雄
偉傑
(
いけつ
)
の姿を充分に備えているではないか。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ハッと眼が覚めて
前方
(
まえ
)
を見ると朝陽に照らされた
護謨
(
ゴム
)
林が壁のように立っているじゃないか! 思わず僕は飛び起きたね。そうしてみんなを揺り起こして船をその岸へ着けたものさ。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
こういい放った泰軒は、同時にすくなからず異様な気持にうたれて
前方
(
まえ
)
をのぞいた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
すっかり武士になりすましている弥生は、
臆
(
おく
)
せず人をかきわけて
前方
(
まえ
)
へ出た。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
前方
(
まえ
)
はドロンとした堀であった。さあ、確に鰻は居そうだ。
隠亡堀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
不意に手をあげて、与の公、
前方
(
まえ
)
を指さした。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
前
常用漢字
小2
部首:⼑
9画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“前方”で始まる語句
前方後圓
前方向