別山べっさん)” の例文
大日岳の連嶺にはいつもながら雪が多い。劒と大日との間から別山べっさんが、不思議の世界でも覗くように脊伸せのびして、魚津の海を瞰下みおろしている。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
白馬——唐松からまつ——五龍——鹿島槍かしまやり——はり——蓮華れんげ——烏帽子えぼし——野口のぐち五郎——三俣蓮華みつまたれんげ——黒部くろべ五郎——かみたけ——楽師やくし——鷲岳——雄山おやま——大汝おおなんじ——別山べっさん——剣……といったような計画を
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)
『越中遊覧志』(此書の著者は明治十八年八月芦峅寺あしくらじから立山に登った)を見ると別山べっさんから劒岳方面を展望した記事の後に次のように書いてある。
前の日に別山べっさんの頂上から双眼鏡で眺めて、「あの偃松はいまつそばを登ってから如何するんだろう、彼処までは登れるがなあ」
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
黒部別山べっさんに撞き当るに至ってにわかに険悪の度を加え、崖は高くながれは急に、河床には巨岩錯峙し、水石相激して谷の中はまるで大風が吹きすさぶような水音で鳴りどよんでいる。
黒部峡谷 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
この山は古来登山者絶無と称せられ、望見した姿も断崖と絶壁とで成り立った岩の山であって、近く別山べっさんの頂上あたりから眺めても何処をどう登ったものか見当のつけようがない。
越中劒岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
劒岳はこの方面から見ると素晴らしい金字塔を押し立て、別山べっさん真砂まさご岳から富士ノ折立、雄山おやまと続いた立山連峰の壮観は、他の追従を許さない。薬師の大岳は半ば以上立山に隠れる。
白馬岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
黒部別山べっさんの大タテガビンや奥鐘おくかね山の絶壁のように、他に類例を認められないようなものは別としても、五、六十米から百米前後の高さに屹立しているものは、珍らしくないのである。
渓三題 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)