切味きれあじ)” の例文
「すか/\」という言葉は、その切味きれあじを示していると共に、先ず二つに割り、次いで半月形に切るというような、連続的な動作をも現している。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
勿論誰も手を触れず、いつ研いだ事もないのに、切味きれあじの鋭さは、月の影に翔込かけこふくろう、小春日になく山鳩は構いない。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いつぞや大菩薩峠の上で生胴いきどうためしてその切味きれあじに覚えのある武蔵太郎安国のきたえた業物わざものを横たえて、門弟下男ら都合つごう三人を引きつれて、いざ出立しゅったつ間際まぎわ
……薫るのなんぞ何のその、酒のひやの気を浴びて、正宗を、びんの口の切味きれあじや、にえも匂も金色こんじきに、梅を、おぼろたたえつつ、ぐいと飲み、ぐいとあおった——立続けた。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鉄砲巻は山に積むし、近所の肴屋さかなやから、かつおはござってら、まぐろいきの可いやつを目利して、一土手提げて来て、私が切味きれあじをお目にかけたね。素敵な切味、一分だめしだ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)