分泌ぶんぴつ)” の例文
女たちの淫らな眼は、それを想像するだけでも媚液びえき分泌ぶんぴつして、れた果物がおかれてあるように、トム公を眺め合った。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
訪問客、すなわち蝶々はその長いくちばしを花中へ差し込み、花蓋かがいのもとの方の内面に分泌ぶんぴつしているみつうのである。その時、その虫の体もくちばしやくれて、その花粉を体やくちばしける。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
これは、決して、虚飾きょしょくや、阿諛あゆからではなくて、如何いかなる場合にも他人に一縷いちるの逃げみちを与えてくつろがせるだけの余裕を、氏の善良性が氏から分泌ぶんぴつさせる自然の滋味じみほかならないのです。
打ちたなければいけない、生きなければいけない。真理というものは、洞窟どうくつの壁から分泌ぶんぴつされる鍾乳石しょうにゅうせきのように、頭脳から分泌される堅い独断説ではない。真理とは生にほかならない。
又犬の胃液の分泌ぶんぴつや何かの工合ぐあいを見るには犬の胸を切って胃の後部を露出ろしゅつして幽門ゆうもんの所を腸とはなしてゴム管に結ぶそして食物をやる、どうです犬は食べると思いますか食べないと思いますか。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
機会主義者の少数は追従と贈賄との巧みな使い方で案外な現世の幸福を得たし、隠者的な人たちは、その文学精神を鋭くすることによって、あてのない現実の生活から真珠を分泌ぶんぴつさせたのである。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
この長いきょの底には、蜜液みつえき分泌ぶんぴつせられていて、花は昆虫の来るのを待っている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
そしてそのもとの方の内面には、よくみつ分泌ぶんぴつせられているのが見られる。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)