出放題でほうだい)” の例文
これなどは、たかやまうへつめてうたつてゐるので、くちから出放題でほうだいつくつたものでは、けっして、かうはうまくゆきません。つぎのは
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「そうだよ、ちょうど悟空猿ごくうざるの手下みたいなつらツキさね。だけど、出放題でほうだいもいい加減にしないと、どやしつけるから、気をおつけ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その要もあるまいと思って黙っていたら、リンピイが勝手にそう信じこんで、同時に僕も、いい気になって出放題でほうだいな名乗りを上げてしまったのだ。
その座敷の中で、にわかにうたをうたい出したものがあるのです。多分それは寝床の中にいて、宿酔のまださめやらない御苦労なしの出放題でほうだいだと思われますが
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
兄さんは自分の身躯や心が自分を裏切うらぎ曲者くせもののように云います。それが徒爾いたずら半分の出放題でほうだいでない事は、今日きょうまでいっしょに寝泊ねとまりの日数ひかずを重ねた私にはよく理解できます。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
梅吉は吹き出したくなるのをじっとこらえて、散々出放題でほうだいのお上手を列べ立てます。
幇間 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
こいつアやられた。そこまでお見とおしたア知らなかった。……やいやい、芳太郎、まア、そうご立腹あそばすな。悪気でしたわけじゃねえ。ちょっと曰くがあって、それで出放題でほうだいなことを
あおむけにながら、足で床板ゆかいたをふみ鳴らし、口から出放題でほうだいにあたりちらしていると、その仕切境しきりざかいの板のむこうがわで
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弁信法師のいうことは、かみ碧落へきらくをきわめ、しも黄泉こうせんに至るとも、あなたの姉を殺したものがこの人のほかにあるならばお目にかかる——それは途方もない出放題でほうだい
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
得意と、えがいてきた慾望よくぼうを、めちゃめちゃに裏切うらぎられた蛾次郎は、腹立たしさのあまり、出放題でほうだいなにくまれ口をたたいて、黒屋敷くろやしきの門をでようとすると、横からふいに
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)