出抜だしぬ)” の例文
旧字:出拔
本当ほんとかね、お前さん、あまり出抜だしぬけで、私もかつがれるような気がするよ。じゃ、本当に立つとすると、今日何時だね。」
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
出抜だしぬけに引廻した幕をけて顔を突き出した男がある。見ると八字のひげが第一に目に付く、頭髪が伸びて、太い眉毛の下には大きな眼がすごく光っている。
木曽御嶽の両面 (新字新仮名) / 吉江喬松(著)
出抜だしぬけに蘭学の修業に参りたいと願書を出すと、懇意なその筋の人が内々ないない知らせてれるに
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
出抜だしぬいて家を出るばかりか、何の便たよりも為んところを見れば、始から富山と出会ふ手筈てはずになつてゐたのだ。あるひは一所に来たのか知れはしない。宮さん、お前は奸婦かんぷだよ。姦通かんつうしたも同じだよ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
けれども藩士が出抜だしぬけに公儀(幕府)の調所しらべしょに入門したいと云ても許すものでない、藩士の入門ねがいにはその藩の留守居るすいと云うものが願書に奥印おくいんをしてしかのちに入門を許すと云う。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
あまり出抜だしぬけで、私はその意をはかりかねていた。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)