出勤しゅっきん)” の例文
目がさめたときには、すっかり夜があけ、明るい太陽たいようがさしこんでいて、出勤しゅっきんしてきた店員てんいんの話し声や掃除そうじをする音がきこえていた。
細君さいくんがとがめる。糟谷かすやはうんにゃといったまま井戸端いどばたへでた。食事もいそいで出勤しゅっきんのしたくにかかると、ふたりの子どもは右から左から父にまつわる。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
毎朝まいあさちちは、この時計とけい出勤しゅっきんしたし、またははは、この時計とけいて、夕飯ゆうはんのしたくをしたのでした。そして、時計とけいは、やすみなく、くるいなく、忠実ちゅうじつに、そのつとめをはたしたのです。
時計と窓の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今日きょうはもう出勤しゅっきんした片岡先生はきゅうに英雄えいゆうにでもなったように、引っぱりだこだった。どうだった? の質問しつもんに答えて、一日でげっそりほおのおちた彼は、青いひげあとをなでながら
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
六郎は東京にて山岡鉄舟のじゅくに入りて、撃剣げきけんを学び、木村氏は熊谷の裁判所に出勤しゅっきんしたりしに、或る日六郎たづねきて、撃剣の時あやまりて肋骨あばらぼね一本折りたれば、しばしおん身がもとにて保養ほようしたしという。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
糟谷かすやはきょうにかぎって、それがうるさくてたまらないけれど、子煩悩こぼんのうな自分が、毎朝かならず出勤しゅっきんのまえに、こうして子どもを寵愛ちょうあいしてきたのであるから
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
た、一つのれいをとれば、ここに毎朝まいあさ出勤しゅっきんする紳士しんしがあります。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
翌朝よくちょうはようやく出勤しゅっきん時間にまにあうばかりにおきた。よほど顔色かおいろがわるかったか
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)