いて)” の例文
されどすがたはさらに見せず、なきやみてのち七人のものおそる/\ちかくなきつる所にいたりて見るに、いてたる雪にふみ入れたる猫の足跡あしあとあり、大さつねの丸盆ほどありしとかたりき。
時は一げつすゑ、雪と氷にうづもれて、川さへ大方姿を隠した北海道を西から東に横断して、ついて見ると、華氏零下二十—三十度といふ空気もいてたやうな朝が毎日続いた。氷つた天、氷つた土。
弓町より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
いてつくやうな風が吹き上げる縞羅紗しまらしやの外套を、しつかと身に引きしめてゐられるのや、私たちが心を引き立てゝ、先生の云はれる「勇敢な兵士」の如く、前進するやうに、訓言や、たとへばなしなどで
昼ながらいまだいてたる岨の隈つくづく踏めば草もみぢ濃き
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
霜さむく、しくるやみの気のいて
霜夜 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
いてやしぬ人転びつる夜の音 鷺喬
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
時は一月末、雪と氷に埋もれて、川さえおおかた姿を隠した北海道を西から東に横断して、着てみると、華氏かし零下二十—三十度という空気もいてたような朝が毎日続いた。氷った天、氷った土。
弓町より (新字新仮名) / 石川啄木(著)
霜のいて昼もきびしき草の葉にハトロン紙敷きてゆで卵食ふ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
今宵こよいはもよろしきいてや豆腐
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
三和土たたきいてきびしかも夫鳥つまどりの雄鴨死にせり雌の鴨もいづれ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
三和土たたきいてきびしかも夫鳥つまどりの雄鴨死にせり雌の鴨もいづれ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)