凄腕すごうで)” の例文
かれはただ、この凄腕すごうでのある孫兵衛——丹石流の据物斬すえものぎりに、妖妙ようみょうわざをもつお十夜を、うまく利用しようというつもりなのである。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あんたは縹緻も頭もいいし、自分でも凄腕すごうでだと思ってるだろうけれど、そういう人ほどかえってひっかかりやすいもんだからね」
雪と泥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
相手はそれに輪をかけた凄腕すごうでで、いづれも一刀兩斷にしてやられるか、運よくて、這々はふ/\の體で逃げ歸るのが關の山でした。
銭形平次捕物控:126 辻斬 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「なに、新ちゃんの手にかかっちゃ、のがれっこはないさ、新ちゃんと来ちゃ、凄腕すごうでだからね、今度はうんとおおごりよ」
女の首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
こっそりと独占ひとりじめにする凄腕すごうでを持っていようとは思わなかった、さて、おれが仕込んで、おれ以上の腕になったというものか、全く以て小娘は油断ができない
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「そんな優しい顔しててあんたはえらい手管てくだ上手や」とか、「くろとも及ばん凄腕すごうでや」とか、いろいろなこというておだてたり皮肉いうたりしますのんで
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
姐さんは我利々々の凄腕すごうでの冷めたくって薄情者の男だましの天才なのよと色々と内幕をあばいてきかせる。
ジロリの女 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「玉川千玉、斎木さいき小竹、和泉歌女寿いずみかめじゅ、藤田芝女しばじょ、橘町にも女役者随分沢山集まっているが、さーてね、いったいこのお侍さん、どいつの凄腕すごうでに引っかかったものか?」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
道具屋輩をして呆然ぼうぜんたらしめるようなより以上な巧言令色はお茶人気質かたぎの旦那筋にこそあって、本当の商売人という凄腕すごうでは果たしていずれであろうかが分明しない現実もある。
現代茶人批判 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
磯五も、おせい様のことを話すとき、誰か凄腕すごうでの、そして正直一轍いってつの金がかりがついているといって、自分はすぐ、それは若松屋さまにきまっていると思ったほどではないか。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
彼もやはり、十四になるかならぬうちから、女にかけてはなかなかの凄腕すごうでで、彼ゆえに良人おっとを裏切った夫人たちは、ヴォローヂャはまだほんの子供だもの、と口実を使うのだった。
そうして身持ちがよろしくないようで、まだ子供のくせに、なかなかの凄腕すごうでだとかいう事でしたが、疎開して来たひとで、その土地の者たちの評判のいいひとなんて、ひとりもありません。
トカトントン (新字新仮名) / 太宰治(著)
「伊藤は赤、青、黄と手をかえ、品をかえて、夜な夜な凄腕すごうでをふるうんだ。」
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
そして映画人のスキャンダルをあさり、それを種に金儲かねもうけをすることを考えた。せ型の貴族貴族した青白い顔に似合わぬ、凄腕すごうでを持っていた。弱点を握った相手でなければ金を貸さなかった。
月と手袋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「よほどの凄腕すごうでと見ゆるな」
相手はそれに輪をかけた凄腕すごうでで、いずれも一刀両断にしてやられるか、運よくて、這々ほうほうの体で逃げ帰るのが関の山でした。
銭形平次捕物控:126 辻斬 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
こいさんの云うように、何もそんなに飛び抜けた美人でもないし、凄腕すごうでがある訳でもないカタリナ程度の女でもそんな好運を掴むことが出来るとすると、西洋にはザラにあることなのだろうか。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
凄腕すごうでのお前にも歯が立たぬかな」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)