冗費じょうひ)” の例文
研究せざれば無用の冗費じょうひのみかさなりて人はむなしく金銭を浪費するのみ。主人の中川新式の火鉢とスープ鍋を客の前にいださしめ
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
論じ東京人の贅沢ぜいたくには裏も表もないけれども大阪人はいかに派手好きのように見えても必ず人の気の付かぬ所で冗費じょうひを節し締括しめくくりを附けていることを
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
本願寺とて、そうなると、うかつに兵力や軍器の冗費じょうひは避けること勿論だ。ひとり弾正久秀だけはいちど挙げた叛旗を急にひそめるわけにゆかなくなった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無理に工夫すれば、冗費じょうひと無駄手間をついやし、労多くして功少なしに終わるまでである。
決して冗費じょうひにあらざるを知るべし
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
わけて、小者部屋だの、若侍たちのたむろには、山のように木炭をにあけて、冗費じょうひしていた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無用な軍用金を冗費じょうひしているとか、陣中の将士の反感をおそれて、飲酒の禁も厳格でないとか、何とかかとか、信長へ聞えてゆくほどな問題でもない些事さじがいちいち中央に聞えて行って
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
軍費を冗費じょうひしながら、与力、被官のともがらにはあわれまず、ひたすら自家のついえを惜しみ、衆心みな軍を離れ、士紀また振わず、世上に織田軍たるの面目を汚し、この戦国の中に、ひとり悠々閑日をぬすんで
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
消耗するものか、国力の冗費じょうひを思わぬものだ
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)