内聞ないぶん)” の例文
の春見は清水助右衞門のせがれ重二郎がいう通り、利子まで添えて三千円の金を返したのは、横着者おうちゃくものながら、どうか此の事を内聞ないぶんにして貰いたいと
ことおおやけになれば、若様一人のお命では相済まぬ、相成るべくは、このまま内聞ないぶんにいたして貰い度いが、どうじゃ。
重臣から武者だまりへ、それから下部の軽士たちへ——やがて洩れて来た内聞ないぶんによると
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この話は何れ沙汰のあるまで内聞ないぶんにして置いてくれ給え」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
今迄真実につかえてくれたから、内聞ないぶんにしてつかわし、表向にすれば面倒だによって、ながいとまを遣わす、また菊もそれ程までに思っているなら、町人になれ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「まだ内聞ないぶんじゃから、そのおつもりでな」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かゝる次第ゆえ、此の始末を娘が聞知きゝしる時は、うれいせまやまいおもって相果あいはてるか、ねがいの成らぬに力を落し、自害をいたすも知れざるゆえ、何卒どうぞ此の事ばかりは娘へ内聞ないぶんにして下さらば
人間の道にあるまじき、人の預けた金をつかい、預かった覚えはないと云ったのは重々じゅう/″\申訳もうしわけがないが、只今早速御返金に及ぶから、何卒どうか男と見掛けてお頼み申すから棟梁さん内聞ないぶんにして呉れまいか