内実ないじつ)” の例文
旧字:内實
柄にもなく色染めの皮足袋などをはいているところからおすと、内実ないじつは、意外に軽薄なので、なりだけで高家こうけを気取っているのかもしれない。
ひどい煙 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
内実ないじつは暫く不問に置かれる、但し、右の古金、新金の在所ありかはこの場でただして帰らねば、身共役目が立ち申さぬ
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
内実ないじつは、ただの左官職と思って、しばらく下塗したぬやっこにでも化けこんで、御公儀ごこうぎの眼をくらます気でか」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それにおはずかしいことには、ってうまれたけずぎらいの気性きしょう内実ないじつよわいくせに、無理むりにも意地いじとうそうとしてるのでございますから、つまりは自分じぶん自分じぶんけずるようなもの
ここらで思いきってお艶と栄三郎を引き離し、お艶は内実ないじつは五百石の奥方。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)