兵家へいか)” の例文
天が快勝の機をわが武田家に与え給うもの、この機をつかめぬようなものは、武将のうつわではない。断じて、兵家へいかとは申されん
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とらわれて東京に護送ごそうせられたるこそ運のつたなきものなれども、成敗せいはい兵家へいかの常にしてもとよりとがむべきにあらず、新政府においてもその罪をにくんでその人を悪まず
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
少しはいんを結びじゅを持する真言宗様しんごんしゅうようの事をも用いたにもせよ、兵家へいかの事であるのがその本来である。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「いやいや、秀吉の使者として、あらかじめ、矢文で通告して来るものを、斬ってはならん。使者を殺すなかれ、これは兵家へいかのあいだの約束だ」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これを見ても謙信の戦が、ただの自己の遺恨とか利己の侵略でなかったことがうかがえる。彼は敵兵すら日本の一民と観ていた。もののあわれを知る兵家へいかだった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兵家へいかにはありふれたことでおざる。わが家のみの悲事でもおざらぬ。ご斟酌しんしゃくはかえっていたみ入る」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それを、そなたにいうのは孟子もうしほうくようなものだが、武家ぶけつみである、群雄割拠ぐんゆうかっきょして領土りょうどと領土のあばきあいのほか、なにごとも忘れている兵家へいかの罪でなければならぬ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
従来じゅうらい築城試合ちくじょうじあいがさきであったが、ゆみ兵家へいか表道具おもてどうぐ、これがほんとだという意見いけんがある、あまり信玄しんげん遺風いふうをまねているのは、徳川家とくがわけとしても権威けんいにかかわるという議論ぎろんがあって
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)