傍輩はうばい)” の例文
遠山はかう云つて、傍輩はうばいと一しよに死骸のある所へ水を打ち掛けてゐると、消防方せうばうかたが段々集つて来て、朝五つ過に火を消し止めた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
大岡殿聞れ大分其方は神妙者しんめうものと見える昨年より當年へかけ傍輩はうばいうちいとまを取てさがりしと云ふ者か又は不首尾ふしゆびにてひまやりしとか何か五兵衞方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
織田たひらノ信長没落後、家臣鳥屋尾とりやを左京ト申ス者、当所ニ来住ス。傍輩はうばいノ浪人ハ其ノ縁ヲ以テ諸大名ニ奉公ニ出デ、又左京儀ハ他家ノ主人ニ仕フル事、本意ナラズ存ゼラレ候。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
投げた脇差は、傍輩はうばいと一しよに半棒で火を払ひけてゐる菊地弥六の頭を越し、えりから袖をかすつて、半棒に触れ、少し切り込んでけし飛んだ。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
段々とはなして娘を賣て十八年以前なる傍輩はうばいの恩金を返さんと思ふよしくはしくはなしければ利兵衞も其の志ざしを深くかんさつそく承知なし即ち判人はんにんとなりて新藤の娘を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
とゞ相果あひはてたる赴き畢竟ひつきやう傍輩はうばいの心實より爲したる事實と相聞え加ふるに千太郎實父じつぷ吉兵衞外一同よりも助命を願ひ出又其方ことすみやかに自訴じそに及びし段神妙しんめうに付死一等を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
女はうたと云ふ女中が一人、傍輩はうばいのりつがお部屋に附いて退いたあとで、しきりいとまもらひたがるのを、なだすかしてめてあるばかりで、格別物の用には立つてゐない。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)