あた)” の例文
桟敷さじき五人詰一間ひとまあたい四円五十銭で世間をおどろかした新富座——その劇場のまえに、十二、三歳の少年のすがたが見いだされる。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
貴様きさまの言うごとくみずから天下を料理する考えを真面目まじめに有するなら、長州家老ちょうしゅうかろう適否てきひのごとき歯牙しがにかくるにあたいなきものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
わたくしは金のあたいというものをよく知っております。あなたもわたくしには、三枚の切り札の秘密をおこばみにはならないでしょう。さあ、いかがですか
彼はここに始めておのれの美しさのすくなくとも奏任以上の地位ある名流をそのつまあたひすべきを信じたるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
たとえばなにがしが所有の馬のあたいはいくらであったというような事——私のよく知っている印度居住の英国人の実生活に関係ある事どもを追想してみようとした。
ことに八重山の主島などは、宮良当壮みやらとうそう君の少年期の記憶が精確で、その資料は利用にあたいする。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
バグリオーニと遠くの方からひややかな挨拶を取り交したが、彼はこの青年の内面に何か注意にあたいすべきものあらば、何物でも身透さずにはおかぬといったような鋭い眼をもって
朴烈ぼくれつというのがそれであった。誰かの変名かしらと私は思った。けれどじきに私はそれを否定した。なぜなら、この詩にあたいする男を私はまだ鮮人の間に見出していなかったから。
彼はまず主人にむかってそのあたいをいた。
実に特筆にあたいする事がらでもあります。
ロード・ラザフォード (新字新仮名) / 石原純(著)
先夫から現在の主人に相当のあたいを支払った上で、自分の妻を引き取るがよかろうと言い聞かせたが、耿の方が承知しない。
ある時、劉が町の人に銀を売ると、その人は満足にあたいを支払わないのです。