供先ともさき)” の例文
昔し渡辺崋山わたなべかざんが松平侯の供先ともさき粗忽そこつで突き当ってひどい目にった事がある。崋山がその時の事を書いてね。——松平侯御横行——と云ってるですが。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
孝助がおこって木刀で打散うちゝらしたのだから、昨夕ゆうべのは孝助は少しも悪くはない、し孝助に遺恨があるならばなぜ飯島に届けん、供先ともさきを妨げしからん事だ、相助の暇に成るは当然あたりまえ
「ぶれい者、お供先ともさきに立ってはならぬ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
供先ともさき兀山はげやまみゆるあつさかな 虎角
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
切首と申候と云ければ大岡殿見られて成程なんぢ首筋くびすぢには大きなるきずが見える其疵は又どうして付られしぞかくさずに申せと云れければ多兵衞はナニかくしませう此疵は一昨年の夏中なつぢう供先ともさきにて喧嘩けんくわ御座候節陸尺の七右衞門と申者にきら此通このとほりの疵に相成しと申ければナニ供先の喧嘩けんくわで切れ夫故其疵に成たるとなそれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)