かし)” の例文
じつおやの如くうやまひ給ひしが其後は將監々々と御呼およびなさるゝゆゑ加納將監も是よりして徳太郎君を主人しゆじんの如くにうやまひかしづき養育やういくなし奉つりける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
自分が知れる限りにおいては、この土蔵の中を天地として、あのめしいたる不思議な剣術の先生にかしずいて、一歩もこの土蔵から出ることを好まない人であった。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
私の頭をあなたの胸に凭せ、しずかにあなたにかしずくよろこび。一切の愁いも煩いも消し飛んでしまうあのひと時。これより偉大で神聖な幸福がこの世に存在するでしょうか。
淪落の皇女の覚書 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
しずが伏せ屋の見すぼらしい母子おやこが只の人でないと眼をつけられ、綾羅錦繍りょうらきんしゅううちかしずかるる貴婦人がお里を怪しまるるそもそもの理由も、またここにあるのではありますまいか。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)