余炎よえん)” の例文
旧字:餘炎
もう、は、れてしまって、西にしそらには一にち余炎よえんもうすれてしまいました。そして、もののかげや、建物たてものかげに、やみ暈取くまどっていました。
石段に鉄管 (新字新仮名) / 小川未明(著)
また百姓ひゃくしょうはい地租改正ちそかいせいのために竹槍ちくそう席旗せきき暴動ぼうどうかもしたるその余炎よえんいまおさまらず、いわんや現に政府の顕官けんかん中にもひそかに不平士族と気脈きみゃくを通じて、蕭牆しょうしょうへんらんくわだてたる者さえなきに非ず。
紅い夕日は、わずかにほんのりと遠くの地平線に余炎よえんを残していた。黒く人のように立っているものがある。それは、木の枝が固っているのであった。
過ぎた春の記憶 (新字新仮名) / 小川未明(著)