住居ずまゐ)” の例文
そんなところに近い※クトル・マツセまちの下宿住居ずまゐが、東京にも見られない程静かな清清せいせいしたところだとは自分も来る迄は想像しなかつたのである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
くちをふさぎて大人の姿にこしらへられしより二十二の今日までに、下宿屋住居ずまゐを半分と見つもりても出入り三年はたしかに世話をうけ、伯父の勝義かつよしが性質の気むづかしい処から
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そんなことは私にとつては何うでも関はなかつたが、村住居ずまゐを引き払つて、家族は新町、そして自分の書斎は当分村の家に——と決めて、稍落着いたところだつたので、不図意外な気がした。
熱い風 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
あきよりたゞ一人の伯父おぢわづらひて、商賣しやうばい八百やをみせもいつとなくぢて、おなまちながら裏屋うらや住居ずまゐなりしよしはけど、六づかしきしゆう給金きうきんきにもらへえば此身このみりたるもおなこと
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
秋よりただ一人の伯父がわづらひて、商売の八百や店もいつとなく閉ぢて、同じ町ながら裏屋住居ずまゐに成しよしは聞けど、むづかしきしゆうを持つ身の給金を先きにもらへばこの身は売りたるも同じ事
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)