人丈ひとたけ)” の例文
早めて歩行あゆめども夏の夜のふけやすく早五時過いつゝすぎとも成し頃名に聞えたる坂東太郎の川波かはなみ音高く岸邊きしべそよあしかや人丈ひとたけよりも高々と生茂おひしげいとながつゝみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
表に夫人の打微笑うちほほえむ、目も眉も鮮麗あざやかに、人丈ひとたけやみの中に描かれて、黒髪の輪郭が、細く円髷まげくぎってあかるい。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれども、それとても長い間のことでありません。最初は膝のあたりに戯れていた薄尾花も、ようやく胸に達し、ついには人丈ひとたけよりも高くなって、いつしか人影を没してしまいました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
または漁具を伏せて置いてうなぎどじょうなどを捕るのであるから、大方そんなものだろうと思うと、その人影は、垣根のすきから庭の中を一心にのぞいていたが、どう思ったか、人丈ひとたけほどな垣根を乗り越えて