上聞じょうぶん)” の例文
呉が妻をち殺したといって告訴に及んだが、この訴訟事件は年を経ても解決せず、州郡の役人らにも処決することが出来ないので、遂に上聞じょうぶんに達することになって
万一此の事が将軍家の上聞じょうぶんに達すれば、此の上もない御当家のお恥辱はじになるゆえ、事穏便おんびんが宜しいと理解をいたした、こりゃ最早ように陳じてものがれる道はないから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
上聞じょうぶん、於御当家たり先例之御定法、至養父歿後者、縦兼約たといけんやく之次第自然せしむるといえども披露、不其養子也、病死跡同前也
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
(玄徳なる者は、前々黄賊の大乱の折にも抜群の功労があったものです)と、上聞じょうぶんに達したので、朝廷でも捨ておかれず、みことのりを下して、彼を平原県へいげんけん(山東省・平原)の令に封じた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「聞いておる、聞いておる。諸葛孔明の面の長さは二尺三寸あったとか。異相のものには、とかく大智奇才が多い。……南に藤波友衛、北に仙波阿古十郎。近来、たがいに角逐競進かくちくきょうしんすることは、すでに上聞じょうぶんに達している。されば……」
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
と、さしせまった地方情勢の険を、絵で画くように、わかりやすく、上聞じょうぶんにいれた。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
結局それを上聞じょうぶんに達するというのであった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「おはなむけの辞、かたじけない。——じつはぎゃくを病んで、まだ少々病余にはござれど、武士の一ぶん、押して今日発向つかまつる。仮病にてはあらざりしことも、いつか上聞じょうぶんに達しおかれたい」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
皆伝かいでんになると、かかえ教授入江達三郎から上聞じょうぶんに達し、家格にもよるが、召し出されて、御番人格、御小姓場、御書院詰、などへ出頭することになるので、剣道そのものよりは、同僚を追い抜いて
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)