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七時
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しちじ
……
此の
雨風に
猶豫つて、いざと
云ふ
間際にも、
尚ほ
卑怯に、さて
發程うか、
止めようかで、
七時の
其の
急行の
時期を
過ごし、
九時にも
間に
合ふか、
合ふまいか。
翌朝まだ
薄暗かつたが、
七時に
乘つた
俥が、はずむ
酒手もなかつたのに、
其の
日の
午後九時と
云ふのに、
金澤の
町外れの
茶店へ
着いた。
屈竟な
若い
男と
云ふでもなく
年配の
車夫である。
「……
緩り
御飯をめしあがれ、それでも
七時の
急行に
間に
合ひますわ。」