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せんめんき
彼は、かばんから、
半紙を
出して、えびを
包みました。そして、
急ぎました。
家へ
着くと、
洗面器に
塩水を
造って、
入れてみたのです。けれど、やはり、えびは
動きませんでした。
三
畳のへやには、すみの
方に
吉雄の
机が
置いてあって、そこへ
床を
敷いたので、
病人のまくらもとには、
薬びんや、
洗面器や、
湯気を
立たせる、
火鉢などがあって
足のふみ
場もないのです。
道の
上に、
手ぬぐいをかぶった、ひげつらの
男と、
大きな
洗面器をかかえたものと、かたちんばのげたをはいた
子どもなど、ひとりとして、まんぞくのふうをしない、
人たちが
集まっていました。