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まんげつ
火星の姿が、地球から見る
満月の倍くらいの大きさに見えるようになった。
そのうちに
夜もなかばになつたと
思ふと、
家のあたりが
俄にあかるくなつて、
滿月の
十そう
倍ぐらゐの
光で、
人々の
毛孔さへ
見えるほどであります。
向つて
左の
端に
居た、
中でも
小柄なのが
下して
居る、
棹が
滿月の
如くに
撓つた、と
思ふと、
上へ
絞つた
絲が
眞直に
伸びて、するりと
水の
空へ
掛つた
鯉が——