満月まんげつ)” の例文
旧字:滿月
入日いりひ残光ざんこうが急にうすれて、夕闇ゆうやみ煙色けむりいろのつばさをひろげて、あたりの山々を包んでいった。と、東の空に、まん丸い月が浮きあがった。満月まんげつだ。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
われわれの頭の上におっかぶさっている大きないちじくの木の中で夕ぜみが鳴いていた。母屋おもやの屋根の上には、いま出たばかりの満月まんげつしずかに青空に上がっていた。
満月まんげつだわ
火星の姿が、地球から見る満月まんげつの倍くらいの大きさに見えるようになった。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あのときは——そうです、満月まんげつ皎々こうこうと照っていました。今はもう屋根の向うにかたむきかけたようです。月光に照らされたものには影が出来るはずです。影というのは、その影ではないでしょうか。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
妖怪屋敷ようかいやしきを照らす満月まんげつの光は、いよいよ青白あおじろくなって参りました。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)