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ふうせんだま
そういって、
弟のほうは、ポケットから、
三日月形に
折りたたんだ、
紙製の
風船球を
取り
出して、
空気をいれるべく、
吹きました。
そのときのようすなどが
目にうつると、
日ごろから、一つの
風船球にも、
貧しい
人たちの
並ならぬ
労力が、かかっていると
思った。
それは、またはなやかなアドバルーンのようにも、
糸が
切れた
風船玉のようにも、うすべに
色をして、
美しかったのです。
ある
年の
春の
長閑な
日のこと、
花の
下にあめ
売りが
屋台を
下ろしていました。
屋台に
結んだ
風船玉は
空に
漂い、また、
立てた
小旗が
風に
吹かれていました。