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はるごろ
それはたしか
去年の
春頃、
池谷信三
郎の
家でのことで、
前日の
晝頃はじめて
翌日の
夕方過ぎまで八
圈戰を五
回ぐらゐ
繰り
返したやうに
思ふが、
終りには
頭朦朧として
體はぐたぐたになつてしまつた。
その
夕月の
光の
下に、おのが
淡い
影を
踏みながら、
言葉のあやも
面白おかしく、
舞いつ
踊りつ
来懸ったのは、この
春頃から
江戸中を、
隈なく
歩き
廻っている
飴売土平。まだ三十にはならないであろう。