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にふだう
一門の
頼、天下の望みを
繋ぐ御身なれば、さすがの
横紙裂りける
入道も心を痛め、此日
朝まだき西八條より
遙々の見舞に、
内府も暫く
寢處を出でて對面あり、
半晌計り
經て還り去りしが
五位の
入道 阿弥陀仏よや。おおい。おおい。
紫は
一度宙で
消えつゝ、
橋を
越えた
改札口へ、ならんで
入道の
手を
曳くやうにして、
微な
電燈に
映つた
姿は、
耳かくしも、
其のまゝ、さげ
髮の、
黒髮長く
﨟たけてさへ
見えた。