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たうなん
見込れ甚だ
危く心得只今言上せし通り其
志ざしも知りしゆゑ
櫛と取替に金子を預け其夜の
盜難を
遁れたる儀に御座りますと云立ければ大岡殿大聲を
近いて
視ると
例の石を
持て居るので大に
驚き其
男を
曳ずつて
役場に出て
盜難の
次第を
訴へた。
させ
置候はんや殊更渠等白状の
趣きにては私し方へ
押入盜み致す
所存の由
盜難を
所望に付遣せし事にて
則ち其喜兵衞助右衞門は此度差添に
罷り居ります
故に
尋下さらば相分るべしといふにぞ喜兵衞助右衞門へ
尋ねられし處二人とも
少しも相違これなきむね
申立けるに大岡殿
然らば傳吉は
密通ならず委細相分りぬ又
盜難と申は
大きなる
都会のなかにたどりつきわれ
平凡に
盗難にあふ