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じつぽん
其さへ
苔に
埋れたのを、
燈心を
掻立てる
意氣組で、
引毮るやうに
拂落して、
南か
北か
方角を
讀むつもりが、ぶる/\と
十本の
指を
震はして、
威かし
附けるやうな
字で
十本ばかりの
青いはんのきの
木立の
上に、
少し
青ざめてぎらぎら
光つてかかりました。
其一室の如きは
二抱へもある四角な
黒檀質の柱が参
拾本以上並び、其れに電灯の映つた
下で幾十の食事の客が大理石の卓を囲んで居る光景は
他に見られない壮観であつた。