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こつな
『
紀どのは、
質屋のことを
御存じかな。』と、
玄竹の
機智は、
敵の
武器で
敵を
刺すやうに、
紀の
言葉を
捉へて、
紀の
顏の
色を
赧くさせた。
但馬守は
懷かしさうに
言つて、
築山の
彼方に、
少しばかり
現はれてゐる
東の
空を
眺めた。
紀も
身體がぞく/\するほど
東の
空を
慕はしく
思つた。
『もういゝ、
玄竹。
其方の
江戸攻撃は
聞き
飽きた。なう
紀。』と、
但馬守は
玄竹のぶツきら
棒に
言ひたいことを
言ふのが、
好きでたまらないのであつた。
「
小綱は、一の武者よ。親まさり、主まさりよ」