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うけひく
取時は其人に氣兼ありて母樣への孝行も
自然怠る道理なれば少しも望みに候はず又
外々へ
縁付などとは思ひも
寄ぬ事何卒此事ばかりは
御免しをと一向
承引氣色もなければ
姑女始め人々も其孝貞を
友とし
樂みゐるこそ樂みなれと
最物堅き長三郎が
回答に
膠なく
言放すに忠兵衞今は
詮方なく是ほど迄に勸めるに
承引景状あらざるは世に
偏屈なる若旦那と
霎時呆れて居たりしが
屹度意に思ひ附く事や有けん
膝を
深く思ひ初主人の妹とは知ながら折々
可笑き
想振などして袖
袂を
曳けれども此吾助元來
醜き男にて
勿々お花が相手になるべき
器量ならず殊に若黨なれば尚更
請引樣もなければ只一人
胸を