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いとざきゆき
五つださうで。……
其を
持參で、
取極めた。たつたのは、
日曜に
當つたと
思ふ。
念のため、
新聞の
欄外を
横に
覗くと、その
終列車は
糸崎行としてある。
……
行——
行と、
呼ぶのが、
何うやら
神戸行を
飛越して、
糸崎行——と
言ふやうに
寂しく
聞える。
糸崎行——お
恥かしいが、
私に
其の
方角が
分らない。
棚の
埃を
拂ひながら、
地名辭典の
索引を
繰ると、
糸崎と
言ふのが
越前國と
備前國とに
二ヶ
所ある。
私は
東西、いや
西北に
迷つた。