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いつすんぼふし
頭でつかちの
一寸法師見たいなやつでね、
夫がフロツクに
緋天鳶絨のチヨツキと云ふ
拵へなんだから、ふるつてゐたよ。おまけにその
鉢の
開いた頭へちよんと
髷をのつけてゐるんだ。
「昔々」と云へば
既に
太古緬邈の世だから、小指ほどの
一寸法師が住んでゐても、竹の中からお姫様が生れて来ても、
格別矛盾の感じが起らない。そこで
予め前へ「昔々」と
食付けたのである。
細い
針ほどな
侏儒が、
一つ/\、と、
歩行き
出しさうな
氣勢がある。
吃驚して、
煮湯で
雜巾を
絞つて、よく
拭つて、
先づ
退治た。